帰燕

帰燕

キエン

文芸(単行本)

燕客は遼水を想う
中国に遺した青春への哀惜をこめ今を深く語る表題作。傑作小説集。

人は、過去をふりすてて生きる。ふりすてた過去の何かに追いすがられて生きる、といった方がよいかも知れない。追いすがってきた何かは、1つ1つが鎖になり、やがてそれらは断ち切れない鎖の輪となって、なおも人をしばりつけようとするだろう。だが、そうした断ち切れない鎖の輪そのものこそが、じつは束縛であるよりか、自由への歩みの証しであり、むしろ自由そのものの光沢と陰翳とを帯びた、豊饒な相貌であるかも知れない。――「あとがき」より


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書誌情報

紙版

発売日

1996年08月26日

ISBN

9784062082549

判型

四六

価格

定価:1,923円(本体1,748円)

ページ数

272ページ

初出

収録作品参照

収録作品

  • 作品名

    賢者の石

    初出

    『群像』95年3月号

  • 作品名

    参加罪

    初出

    『海燕』87年6月号

  • 作品名

    帰燕

    初出

    『群像』95年9月号

  • 作品名

    月宮殿の猿

    初出

    『群像』96年4月号

著者紹介