家族ホテル

家族ホテル

カゾクホテル

文芸(単行本)

東京下町にアメリカ育ちの少年が帰ってきた!
スポーツ&ギターVS.銭湯&おでんや……日米間の違いと老若男女の違い、傷つき悩みながらも伸びやかに生きる少年のグローイング・アップ・ストーリー。

「成田に着いたら、真っ直ぐ日本橋蠣殻町のフォレストホテルへ行くんだ。すべてはそれからだ」日本を発つ日を決める前から、しきりに父は言っていた。渡航手続きを終えたときも、飛行機のチケットを手渡すときも、それを繰り返した。そして、最後にロスの空港で別れたときにも。飛行機に乗り込んだとき、これで悪夢は終わるかもしれないと吾郎は思った。強烈なラッシュを浴びてノックアウト寸前だったボクサーが、なんとかゴングに救われたような気分だった。──(本文より)


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書誌情報

紙版

発売日

1996年12月13日

ISBN

9784062084758

判型

四六

価格

定価:2,136円(本体1,942円)

ページ数

348ページ

初出

『熊本日日新聞』、『北国新聞』、『信濃毎日新聞』、『秋田魁新報』、『神戸新聞』、『中国新聞』、『高知新聞』各紙に掲載された作品に手を加えました

著者紹介