智恵子飛ぶ

智恵子飛ぶ

チエコトブ

文芸(単行本)

いちずな愛の哀しさ。
交錯する愛の形。芸術家夫婦の懊悩。新たな智恵子像を浮彫にした傑作長篇小説。

自分を全面的に理解してくれる智恵子の愛と尊敬を生命の糧として仕事に打ち込み、その歓びに高揚していた光太郎は、智恵子の心の奥に押し籠められた焦燥と失意には気づかなかった。
光太郎は、汚れ果てた自分の目の前に現れた純粋無垢な智恵子を審判官とあがめ、自分の為に生れた女性として理想化し讃え続けてきたが、生身の智恵子は、光太郎の描く智恵子に自分を合わせることに疲れてしまったのであった。――(本文より)


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書誌情報

紙版

発売日

1997年09月18日

ISBN

9784062087803

判型

四六

価格

定価:1,870円(本体1,700円)

ページ数

302ページ

初出

『本』’95年7月号~’96年6月号

著者紹介