
風のように・別れた理由
カゼノヨウニ・ワカレタリユウ
- 著: 渡辺 淳一

作者の最も身近な心の独白、特別エッセイ!
おしぼり、銀座の老人ホーム・安楽死裁判・義兄の死・憧れの靴べら・ミカンのガン・江戸の不倫・歴史に残る死等。
一組の男女がいて、結婚6、7年で別れようとしている。その理由は、夫が毎日午後6時に帰ってくるからという。ここのところが、まことに粋で洒落ている。
これが毎朝6時の朝帰りだから別れるというのでは、面白くも可笑しくもない。(略)
この理由の素敵なところは、一見、些細でつまらないように見えて、その実、いかにもリアリティのあるところである。──[別れた理由]から
おしぼりが好きだ。というより、おしぼりがないと落ち着かない。
たとえば、レストランに入ったとき、飛行機に乗ったとき、新幹線に乗ったとき、旅から家へ戻ったとき、まずおしぼりが欲しい。(略)
おしぼりをもらって、まず手を拭くが、そこで気になるのは顔のほうである。──[おしぼり]から
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書誌情報
紙版
発売日
1998年05月28日
ISBN
9784062090506
判型
四六
価格
定価:1,650円(本体1,500円)
ページ数
254ページ