神様がくれた赤ん坊 茉莉子は小学一年生

神様がくれた赤ん坊 茉莉子は小学一年生

カミサマガクレタアカンボウマリコハショウガクイチネンセイ

ダウン症の茉莉子ちゃん今日も元気に学校へ!
生きることはすごいこと。過酷な運命を乗り越える〈愛と感動のドキュメント〉

茉莉子は病気のために、たくさんの「大変」を抱えてしまいましたが、楽しいことをすべてなくしたわけではありません。絵を描くことも、作文を書くことも、本を読むことも大好きです。それから、動物、特に猫がそばにいれば嬉しくてたまりません。
大きな困難の中にありながら、いつも幸せそうに笑っている茉莉子、彼女のそんな日常を喜びながら、私はこの本を書きました。小著を通して、障害児やその家族の思いに触れていただければ幸いです。そして、茉莉子に限らず、障害を持つ子供たちを温かく応援していただけたらと心から願っています。――(「はじめに」より)

赤いバトンを高く掲げるように持ち、茉莉子はよたよたと走りはじめる。初めての運動会では、行進さえままならなかった茉莉子が、園児たちと1本のバトンをつないで走ろうとしている。テントのそばにいた園児が、大きな声で叫ぶ。声援は父兄席からも起こり、さらに大きくなってゆく。「茉莉ちゃん、頑張れ、茉莉子ちゃん、頑張れ」それはひとつに集まり、まるで大合唱のようだった。茉莉子が生まれてから、知子はどんなに悲しくても、苦しくても泣かなかった。それなのに、いまは大きな何かに揺さぶられ、顔を上げることができない。精一杯に走り、バトンをつないだ茉莉子は、大勢の園児に迎えられ、嬉しそうに笑っている。いつか、知子が今日を振り返るとき、目は幸せそうな笑顔を、耳は大きな声援を、そして心は優しい温もりを思い出すだろう。――(本文より)


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書誌情報

紙版

発売日

1998年06月08日

ISBN

9784062092616

判型

四六

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

ページ数

250ページ

著者紹介