啓太の選択

啓太の選択

ケイタノセンタク

文芸(単行本)

娘を残してヨーロッパ駐在から戻った啓太を待ち受けていた日本の変貌ぶり。
同期生たちに誘われ山を歩くうちに訪れた至福と覚醒。50半ばを過ぎた男の精神の変容を正面から見据えた純文学待望の収穫。

いまから40年近く前になるが、東北の奥深い山中の村落を訪ねたとき、人々が石笛を吹くのをきいたことがある。小石にあいた小さな窪みに、唇をあてて吹くのである。(中略)音楽というにはあまりに原初的(プリミティブ)な音だった。私は、自分をとらえて離さないこの石笛の音が、いつか1篇の小説をうみ出すにちがいない、と思い続けてきた。――(「あとがき」より)


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書誌情報

紙版

発売日

1998年08月11日

ISBN

9784062092852

判型

四六

価格

定価:3,850円(本体3,500円)

ページ数

510ページ

初出

『群像』1994年1月号~1998年4月号

著者紹介