愛の炎(下)

愛の炎(下)

アイノホノオ

文芸(単行本)

破局へ向かう結婚生活の一方で、新たに強まる愛と生命の絆。愛のありようを探る見事な長篇!
愛の歓びに輝く女と男

漆黒の空には白い月が浮かび、風の涼しさには秋の気配が感じられる。その風に靡いて、伸びはじめた薄が波立つ海面のように揺れた。
部屋に入るなり、次郎はよう子を抱きよせた。その腕の力に負けないほど強く、よう子も次郎の背中を抱きしめた。「逢いたかった……」「……私も」
2人は縺れるようにベッドへ倒れこんだ。
今のよう子は明らかにこれまでのよう子とは異なっている。躊躇、自制心、羞恥心といったものがなくなっている。よう子だけではない。次郎もまた挑むようにはげしくよう子を求めている。初めて結ばれた時はぎこちなさがあった2人が、今は貪りあっている。──(本文から)


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書誌情報

紙版

発売日

1998年09月25日

ISBN

9784062093859

判型

四六

価格

定価:1,870円(本体1,700円)

ページ数

294ページ

初出

備考参照

著者紹介