
薬子の京(下)
クスコノミヤコ
- 著: 三枝 和子

京都新聞連載中から、絶賛の嵐!
平安遷都の光と闇。稀代の悪女か、薬子をめぐる愛と王権の行方を描く傑作!
物語が破局に向かって走り始めた頃、電話がありました。
「読者の方から「薬子のお墓は、どこにあるのでしょうか」と問い合わせがありましたが」
意表をつかれて、一瞬、私は狼狽しました。謀反人とされている薬子にお墓のあろうはずはありません。余程身分の高い人でも、死んだ場所の近辺に簡単に埋められるだけです。薬子も、そうされたと思います。薬子は稀代の悪女と見なされて来ましたが、私は彼女をいい女として書きたかった。
昭和20年代の後半から30年代の前半にかけて、私は京都の九条中学と中京中学で教師をしていました。東寺界隈や神泉苑など我が庭のような感じで暮らした一時期があります。京都もずいぶん変わりましたが、それでも、目をこらし、心を尽くすと、「薬子の京」が浮かびあがってきました。――(三枝和子)
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書誌情報
紙版
発売日
1999年01月25日
ISBN
9784062095037
判型
四六
価格
定価:2,090円(本体1,900円)
ページ数
346ページ
初出
『京都新聞』朝刊に1997年12月7日から1998年10月31日まで連載