心のカタチ、こころの歌

心のカタチ、こころの歌

ココロノカタチココロノウタ

私だって死にたいときがある
不安とストレスに、いつも痛めつけられている、デリケートで壊れやすい「心」の扱い方

どのようなニュースも、どのようなフィクションも、医療の現場の生々しいドラマには勝てない。生死や狂気が交錯するところに参加しながら、同時に病理を観察する医師は、世界で一番面白い歌を聴き、世界で一番新鮮な小説を読んでいるのである。
役者と乞食は3日やったらやめられないと言うけれど、医者という仕事は1回やったらやめられない。実はこのスリリングな面白さが、私に医者という仕事を選択させたのであろう。――(本文より)

ガンの研究者もガンにかかることがあるように、精神科医だって精神の病になることがある。医者の不養生は精神科医にだってある。
精神科の教授だって、精神病院の院長だって、新米の医師だって、普通の人びとがおかしくなるのと同じように、おかしくなる可能性をもっている。
その意味で私も、われわれの「おかしな心」の形について、この「おかしくなるかもしれない心」によって描くことになる。


  • 前巻
  • 次巻

書誌情報

紙版

発売日

1999年04月16日

ISBN

9784062096720

判型

四六

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

ページ数

216ページ

初出

雑誌『スコープ』に連載されたエッセイに大幅な加筆訂正をし、さらに新たに書き下ろし原稿を加え編集したもの

著者紹介