家族が自殺に追い込まれるとき

家族が自殺に追い込まれるとき

カゾクガジサツニオイコマレルトキ

働きざかりがなぜ!?
ついに年間3万人を超えた自殺者数、彼らを「最悪の選択」に追い詰めたものは何か。シグナルはどう発せられ、黙殺されたのか。日本社会「世紀末の病理」に警鐘を鳴らす渾身のレポート

殺人は社会の暗い裂け目である。自殺は時代に突き立てられた赤いピッケルである。そこから日本の現実を覗きこむことができる。
「すべて幸福な家庭はたがいに似かよっているが、不幸な家庭はそれぞれに不幸の趣きを異にしている」とは、トルストイの『アンナ・カレーニナ』の冒頭に置かれた、有名な一節である。自殺にも相異なる姿がある。
わたしはいじめによって自殺に追い込まれたいくつかの家庭を訪ねあるいたことがある。それらの家庭では、苦しみのあとにさまざまな闘いがはじまっていた。とおなじように、夫や息子や娘に突然にして世を去られた家庭にも、不幸を乗り越えるための困難な闘いがある。そこにはストレスを昂進剤として経済を発展させた日本の深淵ばかりではなく、その深淵に架橋するための手がかりがこめられている。──(「絶望の淵に橋を架けよ」より)


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書誌情報

紙版

発売日

1999年07月12日

ISBN

9784062097024

判型

四六

価格

定価:1,870円(本体1,700円)

ページ数

343ページ

著者紹介