スター誕生

スター誕生

スタータンジョウヒバリ・キンノスケ・ユウジロウ・アツミキヨシ・ソシテシン・フッコウキノセイシン

思い出そう、あのころを。元気を出せ、日本人!!
敗戦・復興=ひばり、高度成長=裕次郎、そして今=宇多田ヒカルへ。スターが体現したこの国の深層心理をズバリ解剖、憂国の情ほとばしるスーパーノンフィクション!

昭和天皇が死んだ時、老人が涙を流し口々に「苦楽をともにしたから……」と語っていたのをテレビで見て、ピンと来なかった。私は昭和20年9月生まれの“敗戦ベビー”第1号みたいなもので、天皇は“敬して遠ざけるべき存在”なのだという、民主主義教育をうけていたためだ。しかし、中村錦之助が死んだ時、その「苦楽をともに……」の意味がよくわかったのだ。子供時代の“憧れのスター”が死んだら、貧乏だった子供の頃の想い出がウワァーと頭の中を走馬灯のように駆けめぐったのである。錦之助の映画人生と私自身の成長史の哀歓の1コマ1コマは、濃密につながっていることを感じた。そして想った。敗戦ベビー世代にとっては、錦之助やひばり、裕次郎や渥美清らの芸能スターこそが、自分たちの哀歓を献げ、アイデンティティを共有し合えた“天皇的存在”ではなかったか──プロローグより


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書誌情報

紙版

発売日

1999年10月06日

ISBN

9784062098175

判型

四六

価格

定価:1,980円(本体1,800円)

ページ数

286ページ

初出

「戦後スター風雲録―四つの龍の物語」(『現代』1997年8月号~12月号に連載)を大幅に加筆修正したもの

著者紹介