毒きのこ・絶品きのこ狂騒記

毒きのこ・絶品きのこ狂騒記

ドクキノコ・ゼッピンキノコキョウソウキヤマノナカノショクヨク・ブツヨク・ドクセンヨクバトル

「人知れずたくさん採って、皆に見せびらかして食べたい!」
山に迷うかも知れない、せっかく見つけたものが毒かもしれない、それでもきのこ採りはやめられない!おそろしい中毒の実態と、隣人すらも出し抜くほどのウマイ一品をめぐる男たちのミエ比べ、チエ比べ!

Yはひと風呂浴びて汗を流し、ひとりで好きな日本酒を飲んでいるうちに、はじめて採ってきたきのこを思い出し、ふと試食をしてみたくなった。Kの言葉も気になったが、図鑑には“イグチに中毒なし”とあるし、酒の勢いも手伝ったのか火鉢に金網をのせ、柄の太さがひと握りはある、カサが開きかけのきのこをナイフで削りながら焼き、醤油をつけて食べたら、味にくせがなく、まことに歯切れもよい。
「これはウマイ!Kは俺に採られるのがイヤで、うそを教えたな。もう少しでだまされるとこだった」(中略)
嘔(あ)げるものも下すものもなくなった。のどが焼けるように痛い。ふらつきながら洗面所の水をがぶがぶ飲むと、多少落ちついてきて部屋で横になったが、吐くもののない胃の絞るような空嘔げの痛さに耐えられず、ついに医師に来てもらうことになった。──本文より抜粋


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目次

第1章 食べられる?中毒する?
第2章 毒があるとは分かっていても
第3章 ウマイきのこの前では人格も変わる
第4章 山にはいつも危険がいっぱい

書誌情報

紙版

発売日

1999年08月24日

ISBN

9784062098403

判型

四六

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

ページ数

210ページ

著者紹介