
淳和院正子
ジュンナインマサコ
- 著: 三枝 和子

仏道に生きた皇后の生涯!
仏教徒として、天皇家ではじめて夫を火葬・散骨した淳和皇后・正子の一生を描く、書下ろし長篇。
「すべてが異例ずくめの大葬なのだ。正子はひどく自由な心境になっていた。岑継(みねつぐ)が畏って、仕丁の1人1人にも上皇の御骨を渡す有様を、これまで経験したことのない悦びに浸って眺めながら、数珠を押し揉み、上皇の書き記した文言を読み続けた。──天珠のごとく渉入して虚空に遍じ、重重無礙(じゅうじゅうむげ)にして利塵(せつじん)に過ぎたまえるを帰命(きみょう)したてまつる──正子が3度ばかり文言を唱えるあいだに、淳和上皇の骨は陽の光を反射して輝きながら谷あいの濃い緑のなかへ吸いこまれて消えた」──(本文より)
- 前巻
- 次巻
書誌情報
紙版
発売日
1999年10月15日
ISBN
9784062099110
判型
四六
価格
定価:2,090円(本体1,900円)
ページ数
290ページ