我は苦難の道を行く(上)

我は苦難の道を行く(上)

ワレハクナンノミチヲイクオウチョウメイノシンジツ

50年の沈黙を破って語られた2つの中国の悲劇、日本の汚点
「親日・反共」ゆえに「売国奴」のレッテルを貼られ、中国革命の歴史から抹殺された汪兆銘。中国革命の父・孫文の第一の後継者にして、蒋介石・毛沢東の先を駆けた文人政治家のロマン!!渾身の書き下ろし!!

蒋介石が日本を侵略者と断定して対決の姿勢をくずさず、汪兆銘が現実問題としてこれ以上民衆を戦火の中で犠牲にするわけにはいかぬと考えて和平交渉を買って出たとすれば、少なくとも動機としてはどちらも愛国者にちがいない。だが、1つの国家が2つの主張を掲げて奇妙な形態をとりつづけていたときに、日本は敗戦を迎えたのであった。いずれにせよ汪兆銘は、負け組の日本とかかわったために生涯にわたる汚名を着せられたわけである。汪兆銘は三男三女に恵まれた。次男は乳児期にアメリカの保育施設で死去したが、他の5人はいまも健在で最年長の長男はアメリカ西海岸、長女が東海岸、次女がインドネシアで暮らし、末娘と末息子は日本の敗戦後に追われるように大陸を抜け出して以来、こんにちまで香港に住む。──「第1章」より抜粋


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目次

プロローグ 汪兆銘の娘、39年ぶりの来日
第1章 半世紀、埋もれていた資料
第2章 文人政治家のロマン
第3章 権謀術数、反共か抗日か
第4章 日中、裸で抱き合うベし
第5章 和平工作に仕掛けられた罠
第6章 蒋介石との訣別
第7章 日本政府の汪兆銘救出作戦
第8章 最終段階における部下の裏切り
第9章 悲劇の南京国民政府誕生

書誌情報

紙版

発売日

1999年10月15日

ISBN

9784062099288

判型

四六

価格

定価:1,760円(本体1,600円)

ページ数

312ページ

著者紹介