我は苦難の道を行く(下)

我は苦難の道を行く(下)

ワレハクナンノミチヲイクオウチョウメイノシンジツ

裏切りと陰謀、革命と反革命!!生存する遺児たちが証言!!
志半ばで日本で病死した汪兆銘。日本敗戦で腹心たちは処刑され、汪兆銘の妻は自ら獄死し、残された5人の子供たちは世界各地に離散!!50年間封印されていた真実を明らかにした、取材16年の書き下ろし!!

政治は結果であり、自分としては何も成しえなかった父親を讃えたりしないけれど、父親が愛国者であったことだけは人々の間に浸透するよう祈りたい、とつぶやいた長男汪文嬰(おうぶんえい)の言葉は、息子という立場を越えて見事な客観性のもとに汪兆銘の和平工作の核心を突き、南京国民政府をめぐる諸問題を総括したものと思われる。この一言に表される当時の日中関係と汪兆銘の真意は、あらためて見直されるべきだろう。汪兆銘をいまだに“漢奸(かんかん)”(売国奴)の2文字で片付け、それ故に子供たちの大半が祖国を捨てねばならぬ立場に追い込まれているとしたら、まちがいなく中国の近代化のおくれを示すものだ。(中略)汪兆銘とその和平工作をめぐる経緯を、20世紀の日本の汚点として洗いなおすべき時期がきているのではないか。──「エピローグ」より抜粋


  • 前巻
  • 次巻

目次

第10章 日米開戦前後
第11章 毛沢東、汪兆銘との合作を求む
第12章 汪兆銘、死す
第13章 「私は父を評価しない、しかし」
第14章 獄死を選んだ汪兆銘夫人
第15章 汪兆銘亡きあとの2つの事件
第16章 遺書と恋にまつわる噂
エピローグ 20世紀の日本の汚点

書誌情報

紙版

発売日

1999年10月15日

ISBN

9784062099295

判型

四六

価格

定価:1,760円(本体1,600円)

ページ数

302ページ

著者紹介