封印された叫び

封印された叫び

フウインサレタサケビシンテキガイショウトキオク

児童虐待、性的虐待──凍りついた記憶からの脱却
心的外傷による心身の障害に悩まされている人たちの失われた記憶。この人たちの記憶を回復させたい──切迫した治療現場の現実から、強い思いで書き下ろした衝撃の書!!

日本の社会全般が、いまだに健全家族の神話にとらわれており、父親を性的虐待のかどで告発する娘は精神病になったと言われ、夫の殴打から逃れてきた妻たちが、子どもの親権を取り戻そうとすれば、これまた精神病者のたわごととされる。その都度、私は彼女たちが精神病ではないこと、理非弁別の能力を備えてはいるが、心的外傷による心身の障害に悩まされてもいることを、こと細かに説明する診断書を書かなければならない。(中略)
とにかく世の風潮が変わらなければ、と考えている。事実、児童虐待という現実の認識という点について見れば、私がこの仕事にのめりこむようになった1991年より少しは変わった、よくなった。そのためのさらなる一石と思って、いまの仕事をしている。──「まえがき」より抜粋


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目次

第1章 「母の記憶」が欠如した人生
第2章 「忘れていた記憶」の回復
第3章 心的外傷論の源流
第4章 「家族のあり方」は変化し続ける
第5章 「脳という機械」と心
第6章 蛇ににらまれた蛙
第7章 「本当の私は壁の中に隠れている」
第8章 「語れない、語っても理解されない」
第9章 “あの体験”を語るとき
第10章 「自分の人生」を「自分の作品」に

書誌情報

紙版

発売日

1999年11月29日

ISBN

9784062099646

判型

四六

価格

定価:1,980円(本体1,800円)

ページ数

368ページ

著者紹介