
風のように・贅を尽くす
カゼノヨウニ・ゼイヲツクス
- 著: 渡辺 淳一

作家の率直な心の独白が鮮明に伝わる名エッセイ!
人の絶えた所で、池面にうつる月を観る!表題作はじめ、歌う院長、「どよよん」とした感じ・名前負け・ロマンの残党・文学館のオープン・御息所か夕顔か・値切りの効用等。
このところ、年に3、4回、外国へ行っているが、帰ってくる度に感じる、どよよんとした感じ。この日本という国全体をおおっている、なにか淀んで気怠いげな雰囲気のことである。──そんなことはない。世界のなかで日本ほど気ぜわしく、人も物も動いている国はない、といわれるかもしれない。でもわたしがいう、どよよんとした感じとは、そうした、日々、人々や車が忙しく動き廻る、あるいは若者の流行や趣向が絶えず変る、といったことを指しているわけではない。そういう表面的な動きの慌ただしさとは別に、より根源的なところでほとんど変らない、むしろ淀んでいる感じさえすることへの物足りなさというか、苛立ちのようなものである。(略)──(あとがきから)
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書誌情報
紙版
発売日
2000年04月26日
ISBN
9784062102087
判型
四六
価格
定価:1,650円(本体1,500円)
ページ数
256ページ
初出
「週刊現代」1998年7月4日号~1999年7月31日号に連載。