女流棋士

女流棋士

ジョリュウキシ

母の日記ではじめて知った「愛」と「絆」。
勝負師として生きるより、自分らしく生きたい!

「女流プロ棋士」という特殊な世界で、14歳から生きてきた。
4歳のときの交通事故の後遺症と、ずっとたたかってきた。
誰にも打ち明けられなかった真実の青春、書きおろし!

きれいにかたづけておいたはずの机の上に、何やら置いてあるのに気づいた。
見慣れない1冊のノートと、「高橋和棋士」と書かれた封筒。私は引き寄せられるようにノートのほうに手を伸ばし、はじめの1ページを開いてみた。
「……嘘でしょ」頭がまっ白になり、思わず天を仰いだ。見覚えのある癖字でびっしりと書かれた1月21日から始まる母の日記。そう、14年前の事故に遭ったあの日から、私が退院するまでの日記だった。まさかこんなものがあったとは……。
忘れかけていた事故当時の映像がフラッシュバックしてくる。事故の瞬間、白い骨まで見えた左足、母の顔、病院生活……。
私はきちんと座りなおすと、もう一度おそるおそるノートを開き、静かに読み始めた。――(本文より)


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書誌情報

紙版

発売日

2002年04月08日

ISBN

9784062109758

判型

四六

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

ページ数

252ページ

著者紹介