世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語

世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語

セカイデハジメテジヨセイニヘンシンシタオトコトソノツマノアイノモノガタリ

文芸(単行本)

世界14ヵ国で翻訳出版!
献身的な愛と、性の違和感について書かれた真実の人間ドラマ。

「お願いがあるの」
あの日の午後、グレタが寝室から声をかけなかったら……。

すべては、バルト海から風が吹きつける、あの寒い午後に始まった。絵のモデルとなる女性が来られなくなり、妻が思いついたのは、夫に女性用のストッキングと靴を穿いてもらうことだった。夫は承諾するが、それが20世紀初めの、もっとも激しく奇妙な愛の物語の始まりになるとは知る由もなかった。
デンマーク人の画家アイナー・ウェゲナーと、やはり画家で、アメリカ生まれの妻グレタ。事実に基づいて書かれた本作は「愛する人の変化に、どう対処するか?」を問いかけてくる。グレタが授けたリリーという名前で、女性の服を着るようになっていくアイナー。ゲームのような夫婦関係は、やがてそれぞれに大きな決断を迫るのだった。リリーをモデルにしたおかげで、グレタの絵の才能は花開く。フランス人の美術商が彼女の絵に目を付け、夫婦はパリへ移り住むが、ふたつの大戦に挟まれたパリの自由な空気はリリーをさらに解放し、アイナーの存在は徐々に記憶のなかに消されていく。ドレスデン婦人科病院での、ある外科手術を知ったグレタの勧めで、アイナーは、永遠に「リリー」になるべくドイツへと旅立つが……。

テーマは複雑で深遠。
愛に対するエバーショフの知的で巧みな探究により、この小説は、注目に値する「事件」となるだろう。
――(ニューヨーク・タイムズ)


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書誌情報

紙版

発売日

2003年07月19日

ISBN

9784062110228

判型

四六

価格

定価:2,860円(本体2,600円)

ページ数

418ページ

著者紹介