
無私の感触
ムシノカンショク
- 著: 岡松 和夫

他人も自分もない。
ただじわじわと生きている感じがするだけだ。
戦争が終わった。人々はどこか傷ついていた。
〈日本人の心の原点を描く連作小説集〉
昭和20年代の青春と日常は「今」と確実に繋がっている。
「風邪でもひいたのか少し発熱していた。……それでも、この体験は志郎にある不思議な感じを残した。それは黒木の微笑や配慮からきたものである。黒木の示したものは、好意や親切というだけのものではなかった。戦争で傷ついた者が、そのようであり得るのかと驚かされた柔和さだった。感触だった。」――『無私の感触』
「「あの人はこれで二度死のうとしました」母親はいった。……「空襲で逃げた時と今度と。きっと私にはわからない理由があるんです」」――『そばにいる』
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書誌情報
紙版
発売日
2002年02月22日
ISBN
9784062110884
判型
四六
価格
定価:2,530円(本体2,300円)
ページ数
210ページ
初出
群像 無私の感触-1997年10月号・そばにいる-1998年5月号・タンポポの綿毛-1998年10月号・松枝の母親-1999年7月号・受用-2000年1月号・文科の役目-2001年1月号・憲法擁護講演会-1999年10月号・「菩提樹」-2001年6月号・構造-2001年11月号