
水に映る 江戸水景夜話
ミズニウツルエドスイケイヤワ
- 著: 柏田 道夫

夜鷹、少年船頭、船宿の下女……
涙もため息も、この川は慈しんでくれる。
水の街・江戸の下町に生きる人々の情けと哀感を、期待の新鋭が描く時代小説集。
『夜鷹舟あわせ黒子』
「あたいにもあるんだよ」――じいちゃんの代わりに船頭になった清太に、夜鷹のお妙は、親指のつけ根にある黒子を見せた。
『楓川人がた流し』
質屋の常磐屋には3つの掟があった。中でも一番厄介で、かつ不可解なのが、「楓川を渡るべからず」だった。
『面影橋ほたる舞い』
船宿・大竹の下働きのおさんに、飴売りの土平は、いつも優しかった。その笑顔を見ると、心も口もつい緩んでしまうのだった。
『雀色時うろうろ舟』
たった1人で舟遊びと洒落こんだ半右衛門は、胸の奥にしまい込んでいたあることを、船頭相手に思わず話し始めた。
『相生橋しぐれ雪』
妙な男が窺っている、という噂を、船宿・きりやの女将・お巻は、初め、気にも留めなかった。
『大つごもり雪花火』
夜が濃くなると現れるという、お千代舟から上がった火の中に浮かんだ顔を見つめ、勘太は、まさか、と思った。
- 前巻
- 次巻
書誌情報
紙版
発売日
2002年08月26日
ISBN
9784062112796
判型
四六
価格
定価:1,870円(本体1,700円)
ページ数
266ページ