
花の見た夢
ハナノミタユメ
花の絵としゃれた文章が奏でる大人の絵本。
美術に造詣が深い作家太宰治の娘太田治子の芯の通ったやさしい文章と妖しい感覚で描かれた花の絵、作家五木寛之の配偶者五木玲子の組み合わせの妙も興味深い。
玲子さんの花の絵は、花の命がこもっている。燃えて、悩んで、あきらめず……。治子さんの花物語は詩情があふれている。あえかで、いとしく、はかなくて……。――(瀬戸内寂聴)
五木玲子の作品を目の前において、私はしばしば圧倒されるような感覚を覚える。それは彼女が世界中でたったひとり、自分しか描けない線を表現する、ただそのことに全生命を賭けていると確かに感じるからだ。(中略)一見、丹念なリアリズムのように見えて、そうではない。観念と情念のせめぎあうなかに、花たちの夢が揺れている。(中略)そんな彼女の花の絵に、太田治子さんが掌編小説といってもいい美しい文章をそえている。その端正な祈りにも似た作品によって1冊の本がみずみずしく開花した。――(巻末エッセイより・五木寛之)
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書誌情報
紙版
発売日
2002年11月07日
ISBN
9784062113601
判型
B24取
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
64ページ