
おおきくなりません
オオキクナリマセン
- 著: 白倉 由美

35歳だけど18歳
僕たちはゆっくりと大人になる……
「本当におおきくならない?」と訊ねると、おじさんは自信をもって、「おおきくなりません」と言った。
僕はその夜ヒヨコを枕元において眠る。いつまでもおおきくならないヒヨコと大好きな夏の匂いに包まれて。
そして僕は翌日、ヒヨコが冷たく、動かなくなっているのを見るのだ。ヒヨコはおおきくならない。でももう動かない。ふわふわだった体は硬く冷えていた。セミの声が僕の耳の奥でわんわんと反響する。
おおきくならないと死んでしまうんだ、と僕は学び、ヒヨコと同じ色のホウセンカの咲き並ぶ庭の隅にそのピンクのヒヨコを埋める。
幻のまんが家・あの白倉由美の最新小説!
作家・平野月哉の妻・麻巳美は35歳で女子大生、しかも周囲には18歳で通している――! そしてわきおこる奇妙な事件。「おおきく」なれないすべての人が必読。
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書誌情報
紙版
発売日
2002年10月23日
ISBN
9784062113960
判型
四六
価格
定価:1,870円(本体1,700円)
ページ数
280ページ
初出
備考参照