
ゆらてぃく ゆりてぃく
ユラティクユリティク
- 著: 崎山 多美

夜這い、水葬、シマビト気質。
保多良ジマでは、性と魂がたおやかに交わっている。
柔らかに、心の奥深く、刻み込まれる物語。
保多良ジマではヒトが死ぬと通夜の後、遺骸は焼いたり埋めたりせず陽の昇る寸前に海へ流すという。
九州芸術祭受賞、芥川賞候補作家の描く驚くべき民族奇譚。
保多良の習俗における家の門や戸というのは、家をヨソから隔離し守るものというより、もっぱら迎え入れるためのとりあえずの仕切り、というていどのもの。とくに裏戸は夜這い専用の出入口であった。裏戸から侵入し中庭を抜けると、縁側や、神棚の鎮座する中座敷とは反対の側に、裏座がある。裏座は夜這いを期待する者の寝所で、多くは若い未経験者か経験の浅いイキガに与えられる。(本文より)
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書誌情報
紙版
発売日
2003年02月25日
ISBN
9784062116862
判型
四六
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
184ページ