枝豆そら豆 上

枝豆そら豆 上

エダマメソラマメ

文芸(単行本)

2人の少女の恋の転変!

大店の紙屋の一人娘と小間使の娘、あだ名は空豆と枝豆。
人間の運命のおかしみを生々と描く、会心の傑作長篇!

途中の沢のところで、ふと目をあげると、信じられない光景が広がっていた。あたり一面、細かな青白い光がちりばめられていたのだ。光の大群はまるで沢から沸き上るようにゆっくり上昇し、たなびくように揺れ、ふっと静止する。――いつの間にか、お菜津は光の乱舞のただ中に立ちつくしていた。
頷きかけたとき、お菜津は真之介の胸の中にいた。男の腕にすっぽり抱かれて、頭の中が真っ白になった。これは夢なのだと思った。これも夢だ。あの螢とおなじだ。
顔を埋めながら、しきりにそう思った。目を閉じると、瞼裏にくっきりと光の乱舞がよぎった。――(本文から)


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書誌情報

紙版

発売日

2003年01月20日

ISBN

9784062116916

判型

四六

価格

定価:2,090円(本体1,900円)

ページ数

374ページ

著者紹介