彼が彼女の女だった頃

彼が彼女の女だった頃

カレガカノジヨノオンナダツタコロ

文芸(単行本)

Love&Sexをめぐるナイン・ストーリーズ

心まで裸にされる九つの瞬間

思い出して、あなたが私の女だった頃。
覚えていて、私があなたの女だったこと。
忘れないでいて時が過ぎても二人死んでも。

1992‐2002
1990年に私は人間になった。わけがあって、15歳から25歳までの記憶があまりない。ほんとの話だ。で目が覚めたら26歳で、とつぜん成体で、そして体だけでこの世界に生まれてきた感じ。自分の使い方がわからない。他人は何をするのかわからない。他人と何をするのか、わからない。人間の見習いをする亜人間みたいに、人と人の記憶に狂おしく憧れるレプリカントみたいに、誰かを求める。閃光のような一瞬、信じられない光、甘さ、そういうものばかり求めて生きている。記憶も家族もなくても生きられる、そう信じたかった。涙の意味もわからないまま泣いていた。
……そんな自分がこの本にいる。――赤坂真理


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書誌情報

紙版

発売日

2003年07月10日

ISBN

9784062117708

判型

四六

価格

定価:1,760円(本体1,600円)

ページ数

230ページ

初出

備考参照

収録作品

  • 作品名

    幻の軍隊

    初出

    「東京新聞」2001年4月28日夕刊

  • 作品名

    旅をする者

    初出

    「A Hard Day’s Night」1992年6月号

  • 作品名

    初出

    「Radium Egg」1992年冬号

  • 作品名

    響き線

    初出

    「群像」2003年1月号

  • 作品名

    僕が眠りにつくときに

    初出

    「j book」2002年4月号

  • 作品名

    黄泉への道

    初出

    未発表

  • 作品名

    接続体

    初出

    「エクスタス」創刊号2001年9月

  • 作品名

    原形質の甘い水

    初出

    「群像」2000年6月号

  • 作品名

    彼が彼女の女だった頃

    初出

    「Sale2」1992年4月号

著者紹介