
サン・メルシ つれなき美女
サンメルシツレナキビジョ
- 著: 領家 子

密やかに知的、何食わぬ顔。
死ぬまで記憶にとどめておきたい!
非情の都市にたたえられたリリカルな気品、ロマン・ノワールの清新な秀作!
3人の夫を逝かせた美し過ぎる叔母の声が、いま聴こえる。
ワルになれと、やりたいことをやる男にと。
冷徹な覚悟が手にさせる豊潤で確信に満ちた新しいリトリートへの道!
女が年の離れた男に、ある種の悪童教育をする。
――女は堅気の生まれ育ち、家族の中からひとりだけ、突然変異か鬼子のように輝きだす。そうした個体は必ずといっていいほど、並でない欲望を持ち、欲望を追求するための独自な方法論を持っている。
金や不動産や男性関係でみっしり個人生活を充実させ、それでいてすっきりと脂の抜けたハンサムな人間に仕立てよう。可愛いげのある女がいい。彼女は町なかに溶けこむように住みなし、日常の只中にゆったり漂いながらも、あくまで個人的な生活を送る。そして悪童教育を施された少年に受け継がれたものこそ、美しきリトリート(隠遁)の形なのである。――(あとがきから)
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書誌情報
紙版
発売日
2003年04月03日
ISBN
9784062118170
判型
四六
価格
定価:1,980円(本体1,800円)
ページ数
236ページ
初出
書下ろし長編小説