
池辺の棲家
イケベノスミカ
- 著: 加藤 幸子

いのちの連環を描く秀作短篇連作集
探さなければ、ここにいる。
都会の片隅にある池のほとりで、いきものたちと共にめぐる季節と満ちてゆく人生の時間――。
満天の星の数ほどの存在が、千亜子を咀嚼している。もの凄いスピードで。
サクサク シャリシャリ ポソポソ パリパリ。
咀嚼する歓びと咀嚼される歓びが共鳴する。
意識以外の千亜子のすべては、他のものたちと平等に咀嚼され、吸収され、押しだされる。
結果として、落葉の土、鴨の土、鷺の土、猫の土、コウモリの土、油蝉の土、千亜子の土、夫の土となり……。池のほとりに住むことに、なぜ自分たちがこだわりつづけてきたのか。――本文より
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書誌情報
紙版
発売日
2003年10月02日
ISBN
9784062120470
判型
四六
価格
定価:1,870円(本体1,700円)
ページ数
192ページ
初出
備考参照