
忘憂清楽集
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北京図書館にただ一揃い秘蔵され、堯・舜の時代に起源をもつ囲碁の歴史の上で最古の棋書とされる『忘憂清楽集』。呉清源の解説、宇野精一の翻訳をえて幻の棋書が現代に甦る。
『忘憂清楽集』巻頭には、先ず皇祐の学士張擬が孫子の兵法13篇にならって囲碁の理論を13に分けて論じた『碁経』がおかれている。これらの碁経の理論は『碁経』雑説篇の「辺は角に如かず、角は腹に如かず」の2句に要約されるであろう。北宋以前の碁は辺を重視したが、北宋になって、角つまり四隅の重要性と、腹つまり中原への発展性が認識されたのである。『忘憂清楽集』は、これにつゞいて三国時代の呉王孫策と呂範との対局を始めとして北宋末までの合計19譜を載せている。これらの棋戦が行われた道教寺院などについては、北宋の首都汴京の盛時を回顧した『東京夢華録』にかなり詳しい記事があり、これを参考すると、北宋の有名な棋士である劉仲甫、晋士明、李百祥らが、当時の盛り場であり、一種の文化センターでもあった道教寺院で公開の対局をおこなった情景が彷彿としてくる。――貝塚茂樹(本書緒言より)
〔本書の内容〕
緒言 囲碁史上における忘憂清楽集―貝塚茂樹
解題 ―李致忠
解説 忘憂清楽集と中国碁法―林裕
忘憂清楽集 上(「棋経」「棋訣」、棋譜19局を収録)
忘憂清楽集 中(古代の定石109図を収録)
忘憂清楽集 下(詰め物(詰め碁)37題を収録)
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書誌情報
紙版
発売日
2004年10月14日
ISBN
9784062125819
判型
A4変型
価格
定価:4,180円(本体3,800円)
ページ数
260ページ
初出
備考参照