
『別れる理由』が気になって
ワカレルリユウガキニナッテ
- 著: 坪内 祐三

現代日本文学の最高傑作か、こんな破天荒な小説は見たことがない! 毀誉褒貶の激しい小島信夫の家族小説『別れる理由』。刊行から20余年、初めて本格的に論じられる根源的で異様な作品世界の全貌。天下の奇書か!
『別れる理由』はそういう時代との「同時代」性を持った尖端的な作品であるのだ。しかも、小島信夫は、例えばその勉強振りをすぐに作品に反映させる大江健三郎や安部公房らと違って老獪だから、それを明らさまに見せつけない。文章もごく普通の散文である。だから、ごく普通にその意味をたどって行こうとすると、いつの間にか、多重的そして多元的な意味の迷宮にさ迷い込んで行くことになる。だがその迷宮感覚はけっして不快なものではない。そこにこそ1つの、小説を読む喜びがある。――<本文より>
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書誌情報
紙版
発売日
2005年04月01日
ISBN
9784062128230
判型
四六変型
価格
定価:2,200円(本体2,000円)
ページ数
326ページ
初出
『群像』’02年5月号、7月号~12月号、’03年4月号~’04年3月号