
少年飛行兵の絵
ショウネンヒコウヘイノエ
- 著: 岡松 和夫

草原の丸太に座って、遙か遠くを見晴らすと、空の下に……見えてくるものがある。
戦争のことを、まだいつも身近に感じる時代、人々の気持ちがじかに伝わってくる場所があった。
[本文から]
石室が草原の隅の丸太に座っている男を見つけて言う。かねがね、石室はあの杉の丸太に座りたいと思う人は「特別の人」だと笑って言った。「特別」の意味は石室自身も詳しく口にしたことがない。「とにかく気持ちがいいからね。それの分る人だ」 確かに、丸太に座ると草原のゆるやかな傾斜に身をまかせたような気分になる。それに丸太の置いてある位置のせいで、遠くまで見渡せた。
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書誌情報
紙版
発売日
2005年09月01日
ISBN
9784062130738
判型
四六
価格
定価:1,870円(本体1,700円)
ページ数
262ページ
初出
収録作品参照
収録作品
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作品名初出
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作品名
チョコレート・パン
初出
『群像』2002年12月号
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作品名
日系ブラジル人の画家
初出
『群像』2003年4月号
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作品名
隅の丸太
初出
『群像』2003年7月号
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作品名
茹卵
初出
『群像』2003年10月号
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作品名
国語
初出
『群像』2004年1月号
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作品名
セツルメント
初出
『群像』2004年4月号
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作品名
新しい豆腐屋
初出
『群像』2004年7月号
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作品名
トルコ行進曲
初出
『群像』2004年10月号
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作品名
兵隊服
初出
『群像』2005年1月号
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作品名
少年飛行兵の絵
初出
『群像』2005年4月号