迎春花

迎春花

ゲイシュンカ

文芸(単行本)

母から子へ受けつぐ生命(いのち)のリレー
ひとつの時代を築いた女性ファッションデザイナーが急逝した。それは悲しみを共有する同世代の友人達が、封印してきた幼い頃の戦時下の体験について語り始め、それぞれの心の傷を乗り越えていくきっかけともなった――。塗り残した季節へ、今、旅立つ。

「わたし達は空襲で亡くなった母親や、被爆しても命をかけて産んでくれた母親や、外地から命からがら引揚げてひとりで育ててくれた母親達の子なんよ。その母親達の分まで今をしっかり生きなくては申し訳ない。だから頑張って」「わかりました。描きます」わたしはひとつ大きく頷いた。同時にこれは幼い目で見た戦時下の、あるいは終戦後の風景であり物語でもあるのだと改めて思う。――<本文より>


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書誌情報

紙版

発売日

2005年11月12日

ISBN

9784062131940

判型

四六

価格

定価:1,980円(本体1,800円)

ページ数

374ページ

著者紹介