
ミルトンのアベーリャ
ミルトンノアベーリャ
- 著: 辻井 南青紀

律動(ビート)、反復(ループ)、恍惚(トランス)。究極の音楽(トラック)『アベーリャ(ミツバチ)』が響くとき、その針は、人の意識の深部に突き刺さる。
人と人との関わりあう交点に存在する音。瞬間に消える空気の振動=音楽はなぜ人の魂を突き動かすのか。そのパンドラの箱を開けたとき、少年たちに破滅の旋律(メロディー)が響く。音、意識、その可能性を切なく描き出した最高の音楽小説。
貧しい日系ブラジル人移民の子・ミルトン。学校で執拗ないじめを受ける幸太郎と英世。少年たちの閉ざされた心を解放するもの、それは音楽だけだった。やがてミルトンと幸太郎は、自分たちの音楽(トラック)を作りはじめる。ミルトンの意識が頂点をむかえたとき、2人は究極の音楽(トラック)『アベーリャ(abelha)』を編み出す。アベーリャ=ミツバチと名づけられたその音楽(トラック)は、人の意識を変容させるものだった。ふたりのユニット「トランス=ソニック」は世界デビューへとむかうが、アベーリャの毒はミルトンの意識を侵しはじめていた――。
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書誌情報
紙版
発売日
2006年02月02日
ISBN
9784062132398
判型
四六
価格
定価:1,870円(本体1,700円)
ページ数
302ページ