ひたすら

ひたすら

ヒタスラ

講談社の実用書

化学者の夫と二人三脚で歩んだ日々
研究に専念する夫を支え続けた50年の歳月。ノーベル賞受賞者の妻が綴る愛と信頼、尊敬を絆に、ともに生きた昭和の夫婦像

真夜中のメモには重大な発見が潜んでいた!
ある日の夜半か未明の頃、隣の小さい部屋で計算をしていた夫が、私の寝ている布団の衿を小さく振り動かし、声をかける。「起きなさい。起きなさい」何事かと半睡のまま起きてゆくと、数十枚の計算用紙の最後のものらしい1枚の半紙を手に持ち、笑みを顔一杯に浮かべて私に見せる。「これきれいだろう!きれいだろう?」(中略)数式全体は、長めの直角三角形で、私にもその美しさはわかる。「ほんときれいね」と言って寝てしまうが、この経験が同じパターンで数回繰り返され、時には眠いのでお愛想で「きれい、きれい」と言ったこともある。――<本文より>


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書誌情報

紙版

発売日

2007年03月30日

ISBN

9784062139021

判型

四六

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

ページ数

230ページ

シリーズ

講談社の実用BOOK

初出

本書収録の作品のうち、初出誌のあるものは収録作品として登録しました。その他の原稿は、書き下ろし。

収録作品

  • 作品名

    ノーベル賞受賞

    初出

    『文学空間』1988年7月10号

  • 作品名

    二度目のスウェーデン、滞在時間十分

    初出

    『文学空間』1988年7月10号

  • 作品名

    ノーベル・ウィーク

    初出

    『文学空間』1988年7月10号

  • 作品名

    母の執念

    初出

    『文学空間』1995年6月25号、『禅文化』1997年秋162号

  • 作品名

    ローマの休日

    初出

    『文学空間』1987年3月7号

  • 作品名

    大切な人との別れ

    初出

    『文学空間』1989年11月14号、『禅文化』1997年秋

  • 作品名

    一九九〇年、心の旅へ

    初出

    『文学空間』1991年9月、『禅文化』1996年冬、春

  • 作品名

    家族の肖像

    初出

    『文学空間』1992年11月、1994年5月、『禅文化』1996年夏

  • 作品名

    百不知百不会 父と老師の教え

    初出

    『禅文化』1995年秋158号、1996年秋

著者紹介