
七里湖
シチリコ
- 著: 大庭 みな子

大庭みな子 最後の長編小説
「三匹の蟹」以来、女性として、文学者として常に刺激を与え続けてきた著者の、病に倒れる直前まで執筆していた、未完の作品。
そして、天上から、あるいは七里湖の底から浮き上って来るたくさんの友人たちが薄い嘲いを浮かべて、けれど優しげな手をさしのべて、招いているのやら、ただ挨拶代りにひらひらと半分開いた指をかざしているのやら。忍冬の蔓と浦島草の糸を咥えた黎がまるで利発な青年のようなきっとした眉を上げて、林の間に立って微笑んでいる。――<本文より>
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書誌情報
紙版
発売日
2007年09月07日
ISBN
9784062142717
判型
四六変型
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
238ページ
初出
「第1部」は『群像』’95年1月号~12月号、「第2部」は『群像』’96年7月号~9月号、「まぼろしの七里湖」は『群像』’96年10月号掲載。