
紅水晶
ベニスイショウ
- 著: 蜂飼 耳

現代最高の若手詩人・蜂飼耳 初の小説集
日本語は、もっと別のものを見ることができる
破壊と創造の波をよびさます、いくつもの感覚と視線 まちがいなく、この才能が日本文学をリードしていく
セックスが嫌いなので、結婚できない。百音(もね)が本心を打ち明けると、三輪山は顔をくもらせた。「じゃあ、なんでいままで付き合ってきたの? そんなこと、もっと早くいってくれればよかったのに」…………だって、そばにいるのが好きだったから、と百音は答える。確信をもって。他に理由などありはしない、という確信をこめて。三輪山はそれを聞くと、顔をゆがめた。顔の真ん中へゆっくり沈みこんでいく石を、百音は見た。――<「紅水晶」冒頭より>
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書誌情報
紙版
発売日
2007年12月01日
ISBN
9784062143875
判型
四六
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
230ページ
初出
収録作品参照
収録作品
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作品名初出
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作品名
崖のにおい
初出
『群像』2006年5月号
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作品名
こぼれ落ちる猿の声
初出
『文學界』2006年12月号
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作品名
くらげの庭
初出
『群像』2007年1月号
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作品名
紅水晶
初出
『群像』2007年6月号
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作品名
六角形
初出
『新潮』2007年10月号