阿修羅

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阿修羅

アシュラ

妻は三つの「わたし」を生きていた。
交叉する三つの人格に対峙する、夫と医師。
それぞれの「わたし」という物語はいかに紡がれ、いかに統合されていくのか?
幾つもの人格が解離し、しかも同居する精神―日本でも増えつつある「解離性同一性障害」という心の病いをテーマに挑んだ、僧侶にして芥川賞作家の最高傑作小説。
記憶と意識、情念と無意識の狭間を行き交う人間の心の不思議に、文学は救いの手を差し伸べられるのか?
「この病気の方に実際にお会いした印象は今でも忘れられない。そして、知れば知るほど、あまりに文学的な病いであることに驚嘆した。無意識に『わたし』の都合でまとめられる人格と、そこからはみだし解離していく『わたし』たちの物語を、私は何年かかっても書きたいと思った。現代は解離の時代である」 ―玄侑宗久
「阿修羅像を多重人格として読み替える美しくも大胆な試み。小説家の想像力がまたひとつ『解離』の扉を開けた」 ―斎藤環(精神科医)


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書誌情報

紙版

発売日

2009年10月09日

ISBN

9784062152594

判型

四六

価格

定価:1,870円(本体1,700円)

ページ数

282ページ

著者紹介

著: 玄侑 宗久(ゲンユウ ソウキュウ)

(げんゆう・そうきゅう)1956年(昭和31年)、福島県三春町生まれ。慶應義塾大学文学部中国文学科卒業。京都天龍寺専門道場に入門。現在、三春町・臨済宗妙心寺派、福聚寺住職。2001年、『中陰の花』で第125回芥川賞を受賞。以来、小説、エッセイ、対談集など旺盛な著述活動を行っている。おもな著書に、小説では『リーラ神の庭の遊戯』、『龍の棲む家』、『テルちゃん』など、仏教や禅にまつわる著作に『禅的生活』、『死んだらどうなるの』、『慈悲をめぐる心象スケッチ』、『現代語訳般若心経』など、また『あの世この世』(瀬戸内寂聴と共著)、『脳と魂』(養老孟司と共著)など対談集も多い。京都花園大学国際禅学科客員教授。

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