カメレオン狂のための戦争学習帳

カメレオン狂のための戦争学習帳

カメレオンキョウノタメノセンソウガクシュウチョウ

文芸(単行本)

21世紀の“暴走(フルスロットル)小説”、ここに極まれり!
不惜身命、容赦無用、暴威杜毘威暗毘沙須 高校教師、「戦争」に巻き込まれる!?

第52回 群像新人文学賞受賞作

独身教員のための「修身寮」に入寮した田中。彼に課せられた任務は、寮の内情をレポートする、それだけのはずだった――。見えない「戦争」に次第に組み込まれてゆく高校教師の煩悶を、饒舌な文体と不穏な緊張感で描く、現代の不条理劇。

「全体を通して小市民の滑稽さと悲哀に満ちて飽きさせないし、観察する相手が敵なのか味方なのかと一緒になって疑心暗鬼に陥ってゆくのは心地よい恐怖だった。」――伊藤たかみ氏

「心地よい呆れを抱いた。(中略)『お前さまはべらべらとよくしゃべるね』というつげ義春『ほんやら洞のべんさん』の独りごちを実際に呟かせる(読書中、実際に声を出すことなど滅多にないのだ)。」――長嶋有氏

「見過ごしてしまいそうで実は難しい『小説との約束』を最後まで守り通したことがすばらしいと思った。」――絲山秋子氏

「ゴーゴリとカフカを潜り抜けた後藤明生がピンチョン的手法で『戦争』の学習を行なっているかのようだ。」――松浦寿輝氏

「背後にうっすらと戦争が起きている21世紀の現実に対する危機感も見え、受賞にふさわしい完成度の高い作品だと感じた。」――田中和生氏

全選考委員絶賛!


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書誌情報

紙版

発売日

2009年07月25日

ISBN

9784062155984

判型

四六

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

ページ数

178ページ

初出

『群像』2009年6月号

著者紹介