ピストルズ

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文芸(単行本)

荒廃していく世界の片隅で、少女は奇跡を起こせるか!?
「神の町」に住まう哀しき一族をめぐる大サーガ、開幕!

「若木(おさなぎ)山の裏手には、魔術師の一家が暮らしている――」
田舎町で書店を営む石川は、あるキッカケから、町の外れに住む“魔術師一家”と噂される人々 に接触する。その名は菖蒲(あやめ)家。謎に包まれた一族の秘密を探るべく、石川は四姉妹の次女・あおばにインタビューを敢行するのだが……。そこで語られ始めたのは、一族の間で千年以上も受け継がれた“秘術”にまつわる目眩めく壮大な歴史だった。史実の闇に葬り去られた「神の町」の盛衰とともに明かされていく「アヤメメソッド」の正体と、一族の忌まわしき宿命とは。そして秘術の後継者である末娘・みずきが引き起こしてしまった取り返しのつかない過ちとは 一体――?やがて物語は二〇〇五年夏に起きた“血の日曜日事件”の隠された真実を暴き出してゆく……!
箱庭的ユートピアを思わせる幻想的な冒頭 から、不穏な緊張感で急展開を迎える終盤、思いもかけないラストまで、まさに著者頂点をきわめる3年ぶり傑作巨編!

・この一冊の本が差し出す構造と運命を思えばガルシア・マルケスの『百年の孤独』を想起することでしょう。鳴り続ける音、焼きつく映像。あらゆる表現の醍醐味が縦横無尽に編みこまれたこの「大きな小説」に一〇年代の初めに出合えたことが嬉しい。
――川上未映子(作家)【読売新聞4/4書評より】
・今年はこの本を読めたからもうそれだけで良い、と思えました。
――伊坂幸太郎(作家)
・植物、動物、鉱物の博物誌にして暴力、性愛、幻影の博物誌。魔法となった言葉によって過去の歴史が現在の物語として甦り、未知なるものへと変容を遂げる。表現の時空を刷新してしまう、危険で魅惑的な試み。
――安藤礼二(文芸評論家)
・物語の底が抜けたような浮遊感に、我々は作家の技巧に翻弄される歓びを噛み締めることになるだろう。
――斎藤環(精神科医)【朝日新聞4/4書評より】
・書かれてはならない小説が書かれてしまった! それが誰にもすらすらと読めるのだから、これは僥倖と呼ぶしかない稀有の事態である。
――蓮實 重彦(評論家)


書誌情報

紙版

発売日

2010年03月25日

ISBN

9784062161169

判型

四六変型

価格

定価:2,090円(本体1,900円)

ページ数

674ページ

初出

『群像』2007年1月号、3月号、5月号~2009年11月号

著者紹介

著: 阿部 和重(アベ カズシゲ)

1968年山形県生まれ。『アメリカの夜』で第37回群像新人文学賞を受賞しデビュー。その後、『無情の世界』で第21回野間文芸新人賞、『シンセミア』では第15回伊藤整文学賞・第58回毎日出版文化賞をダブル受賞、『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞を受賞した。その他の著書に『インディヴィジュアル・プロジェクション』『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

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