坂物語

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電子あり

坂物語

サカモノガタリ

文芸(単行本)

なんだ坂。こんな坂。生きていく。その道程はこんなにも起伏にとんでいる。上り坂も辛いばかりではない。下り坂が楽とは限らない。人間の胸底を鮮やかに描き出した連作小説集。実在する坂を舞台に紡がれる、人生の黄昏どきに交叉する人間模様。「正論」(2009年11月号から2010年10月号)連載中より好評を博した珠玉の12編が単行本化。


なんだ坂。こんな坂。生きていく。その道程はこんなにも起伏にとんでいる。
上り坂も辛いばかりではない。下り坂が楽とは限らない。
人間の胸底を鮮やかに描き出した連作小説集。

実在する坂を舞台に紡がれる、人生の黄昏どきに交叉する人間模様。
「正論」(2009年11月号~2010年10月号)連載中より好評を博した珠玉の十二編が単行本化。

【収録作品】
「達磨坂」「おっぽり坂」「男坂」「梯子坂」「地蔵坂」「どりこの坂」
「やりくり坂」「ひぐらし坂」「あかぢ坂」「開運坂」「錦華坂」「ひきずり坂」
※詳細は【目次を見る】をご覧ください


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目次

「達磨坂」
女二代の後家つづき。祖母と母の血を受け継ぐ、わたし。ずっと不倫関係だった、あの人は今週で退職する――。
「おっぽり坂」
「冥土の土産に聞いてもらいたかことがあると」。食道癌の末期で病床にある父が息子に託した、ある願いとは。
「男坂」
待ち合わせは、湯島天神の境内。森山は、離婚以来、別れて暮らす娘とのひさびさの再会に胸躍らす。
「梯子坂」
東京の古いアパートの一室に同郷の馴染みで同棲をはじめた若い二人。
彼女は苦学生の彼の夢を見守りつづけていた。
「地蔵坂」
思い込みと意気込みだけで上京して五十年。鳩の街で散髪屋を営む国子が振り返る、人生の決断のとき。
「どりこの坂」
もう六十五歳。家政婦の睦子は、高台にある屋敷に通うため、週に五日登るのは、変な名前の坂だった。
「やりくり坂」
「もう男性に頼って生きるのは、こりごりだ」。四十三歳の日名子は、夫の愛人の妊娠を知って家を出た。
「ひぐらし坂」
最近、無性に結婚願望が生まれてくる、三十代半ばのわたしは、不倫関係にある年上の男性との別れを決意する。
「あかぢ坂」
商売に失敗して一家離散した俊助は、いま境内でたこ焼きの屋台を出す。思い出すのは、尊敬する祖父の行商姿だった。
「開運坂」
なぜあの猫は懐いてこないんだろう。男は五年前、わたしに「ここに住め」とマンションの一室をあてがった。
「錦華坂」
西田は若い頃から作家志望だった。諦めようとして諦められなかった未練のために、振りきった人生もあった。
「ひきずり坂」
二十九歳のとき、大学四年生の和さんに出会った。あれから四十五年、年下の夫はこの世を去り、わたしのもとに秘密が残る。

書誌情報

紙版

発売日

2011年02月11日

ISBN

9784062166966

判型

四六

価格

定価:1,980円(本体1,800円)

ページ数

242ページ

電子版

発売日

2014年04月18日

JDCN

0621669600100011000E

初出

『正論』2009年11月号~2010年10月号

著者紹介

著: 佐藤 洋二郎(サトウ ヨウジロウ)

(さとう・ようじろう) 1949年、福岡県生まれ。1995年『夏至祭』(講談社)で第一七回野間文芸新人賞、1999年『岬の蛍』(集英社)で第四九回芸術選奨文部大臣新人賞、2001年『イギリス山』で第五回木山捷平文学賞を受賞。

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