末裔

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電子あり

末裔

マツエイ

文芸(単行本)

定年近い公務員の省三が、ある日家に帰ると、玄関ドアの鍵穴はどこにもなかった。妻を亡くし息子も娘も家を出て、家に入れない。省三は外泊を続け、今や住む人のない鎌倉の伯父の家に滞在する。懐かしいものに囲まれながら思い出すのは、父と伯父がかわす教養を根本に置いた会話、母や伯母のことなど、かつてそこにあった幸せな光景。すべては失われ堕落した末裔であると自覚した省三は、自らの系譜に思いを巡らせ、行動を起こす。


家族であることとはいったい何なのか
父や伯父の持っていた教養、亡き妻との日々、全ては豊かな家族の思い出。

「お兄ちゃんのとこも子供いないでしょ。私も全然そんな気ないけど、このままだったら誰もいなくなっちゃうんだねえ」
「そうだな」
「じゃあ、ほんとに私がこの家の、最後の一人なんだ」
省三の脳裏に「末裔」という言葉がよぎった。――<本文より>

妻を亡くし、子供たちは家を出た。省三は、自らの系譜に思いを巡らせる。


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書誌情報

紙版

発売日

2011年02月17日

ISBN

9784062167376

判型

四六

価格

定価:1,760円(本体1,600円)

ページ数

306ページ

電子版

発売日

2013年01月25日

JDCN

0621673700100011000E

初出

『群像』2009年9月号~2010年8月号

著者紹介

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