保護司・三浦一広物語 結いの島のフリムン(大馬鹿者)

保護司・三浦一広物語 結いの島のフリムン(大馬鹿者)

ホゴシミウラカズヒロモノガタリユイノシマノフリムンオオバカモノ

「私は、三浦先生に出会っていなければ死んでいました」

--奄美大島。人口約六万人の美しいこの島に、これまでの三〇年間で、三万人を超える子どもたちの更正に携わってきた、カリスマ保護司・三浦一広さんがいます。

 三百六十五日、二十四時間。問題を抱える子供たちとその家族のため、眠る間も携帯電話を離さず、二時間おきに受信をチェックし、夜中の何時でも、現場に飛び出して行く彼のその教育方針は、『許し、認め、褒め、励まし、感謝する』。そして、お互いを信じること。
 プライベートの時間もお金もすべて子供たちの為に捧げ、決して昂ぶらず悲壮感を感じさせない。どんな荒れた少年たちも、彼に出会うと瞬時に心を開き、兄のように慕う。そして親たちも地域の人たちも、決して彼を悪く言わない。
 
 そんな三浦一広氏の命をかけた青少年支援のドキュメントです。

 冒頭の言葉は、三浦氏により、更生を果たしたある女性の言葉です。現在、自身も保護司として活動する彼女は、そのあとにこんな言葉をつなぎました。

「当時を振り返って私が思うこと、それは、たったひとりでいいから自分を信じてくれる人がいるということがどんなに心強いか……。
 私は、今でも三浦先生や両親に、とても感謝しています。人に信じてもらえることで人を信じられるようになる。そしその信頼を裏切ることを恐れるようになれる……。
 もし今、問題をかかえている子どもに失望している方がいらっしゃるなら、どうかその子を見放さず、信じて、守り続けてあげてほしいと心から願います
 人に傷つき、人を傷つけて生きてきた分、人を想う心はきっと育っているはずです。ですから、きっといつの日か、光が見えると思います」

 震災後クローズアップされる人と人の絆。その精神は、奄美では古くから「結い(ゆい)」という言葉に託されてきました。
 今、我々に求められている“こたえ”のひとつを感じ取ってください。


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書誌情報

紙版

発売日

2011年09月29日

ISBN

9784062172165

判型

四六

価格

定価:1,540円(本体1,400円)

ページ数

258ページ

著者紹介