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狼ばば様の話
オオカミババサマノハナシ
小学5年の瞳子はおばあちゃんと一緒に山里温泉へ来ていた。
おばあちゃんは子どもの頃、昔話に出てくる不思議なものと仲良くなったらしい。どんな友だちなのか、まだ瞳子に教えてくれはしない
でも、その友だちがいるせいで、大学で昔話の研究をするようになったのだと瞳子は思っている。
瞳子とおばあちゃんが泊まっている山里ホテルは何度も増築をくりかえしたらしく、二階建てだったり、三階建てだったりするいくつもの棟を廊下や階段でつないでいる。巨大な雲が山肌にはりつくようにして建っていて、まるで迷路の中で遊ぶようだ。
ホテルではおばあちゃんが山里温泉のお湯のいわれである「スガの平の娘」の話を披露し、瞳子はすっかりその”狼に育てられた娘”のお話に魅せられたのだった。
ところが、同じ日、山里温泉一帯ではお湯が突然出なくなってしまう。それを知ったおばあちゃんはあわててスキーで出て行き、瞳子はホテルにひとり取り残されて……。
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書誌情報
紙版
発売日
2012年03月01日
ISBN
9784062174886
判型
A5
価格
定価:1,320円(本体1,200円)
ページ数
98ページ
シリーズ
文学の扉
初出
『毎日新聞』の「読んであげて」(2011年12月1日~2011年12月31日発行分)に連載された作品に加筆、修正を加えた。