りっぱな兵士になりたかった男の話

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りっぱな兵士になりたかった男の話

リッパナヘイシニナリタカッタオトコノハナシ

「りっぱな兵士であるための9か条」をかたくなに守る青年、カスパールが主人公。彼は軍の任命で、風車小屋の見張りにつきます。しかしそれは、山の上に建つ、ただのおんぼろ小屋。やってくる者といえば、牛をつれた一人の老人と、小さなネズミくらいです。生真面目に任務を遂行しようとするカスパールと、ちょっかいを出してくる老人のユーモラスなやりとりにひかれて読み進むうちに、戦争のむなしさも伝わってくる傑作です。


 いつでも優秀な兵士でありたいと、軍隊に忠誠を誓う、クリエグの町の青年カスパール。「りっぱな兵士であるための9か条」が書かれたメモを肌身離さず持ち歩いていた。
 カスパールに言いわたされた任務は、「風の山」の頂上にある風車小屋の監視。彼は質問ひとつすることなく、ただちに任地に向かった。
 それは小さなみすぼらしい小屋で、敵の気配などなく、毎日のようにやって来る者といえば、雌牛の「ももちゃん」と、飼い主であるしわだらけのおじいさん、そしてつまみ食いのためにやってくる1匹の小ネズミくらい。それでも、カスパールは生真面目に任務を遂行しようとする。
 クリエグの町に、いよいよ敵が攻めこんできた。おじいさんは、自分も戦いに参加すると言って山を降りていく。それでもカスパールは、風車小屋を忠実に見張りつづける。残されたももちゃんの世話にも、すっかり慣れてしまった。
 ふたたび山に戻ってきたおじいさんだが、あるとき、姿を見せなくなってしまった。
 カスパールは、初めて命令を破り、小屋の見張りから離れ、老人の家を訪ねることにした……。

 イタリアの新しい児童文学作品です。
 生真面目に任務を遂行しようとするカスパールと、ちょっかいを出してくる老人のユーモラスなやりとり。それにひかれて読み進むうち、同時に戦争のむなしさも伝わってくる傑作です。
 イラストはユーモア絵本の新星、シゲタサヤカ氏。これまでにあまりなかったタイプの、戦争をテーマにした児童文学です。

※小学5年生以上の漢字にルビ付


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  • 次巻

書誌情報

紙版

発売日

2012年06月22日

ISBN

9784062177627

判型

四六

価格

定価:1,430円(本体1,300円)

ページ数

170ページ

著者紹介

著: グイード・スガルドリ(グイード・スガルドリ)

イタリアの児童文学作家。獣医をしながら、数多くの児童書を執筆する。2009年、イタリアアンデルセン賞の最優秀作家賞を受賞。

訳: 杉本 あり(スギモト アリ)

出版社勤務を経て、イタリアへ留学。滞在中に、日本の雑誌向けの記事を書くようになる。帰国後、フリーのライター、編集者、翻訳家として活動。著書に『ミラノインテリア修業』(晶文社)、『イタリアひとり歩きノート』『イタリアひとり暮らしノート』(大和書房)、『フィレンツェ 四季を彩る食卓』(東京書籍)など。訳書に『クリムト 美と暗の妖艶』(昭文社)、『赤ちゃんは魔女』(徳間書店)がある。