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泡をたたき割る人魚は
アワヲタタキワルニンギョハ
- 著: 片瀬 チヲル

その島は、右半分は観光や漁業で栄え、左半分は沼地が広がり寂れていた。薫は左半分に住み、栄養飲料の配達をしている。絵描きの瀬戸や魚屋の村井と仲がよい。ある日、願いを叶えてくれるという老女のもとへ行き、「魚になりたい」と告げる。老女は薫の脚と、配達に使っていた原チャリと引き換えに、薫を人魚にしてくれた。うれしくて泳ぎまわる薫。海にもぐって島の右半分に顔を出した薫に、新しい出逢いが待っていた。
ワニが這いつくばったような形のその島は、右半分は観光や漁業で栄え、左半分は沼地が広がり寂れていた。薫は左半分に住み、栄養飲料ピタニィの配達をしている。配達がてら、絵描きの瀬戸の家や魚屋の村井の店に立ち寄っては世間話をしている。左半分は水資源が豊富なので、どこの庭にも泉があった。
ある日、願いを叶えてくれるという今川焼き屋の老女のもとへ行き、「魚になりたい」ことを告げる。老女は薫の脚と、配達に使っていた原チャリと引き換えに、薫を人魚にしてくれた。
うれしくて瀬戸や村井の家の泉を泳ぎまわる薫。海にもぐって島の右半分に顔を出した薫に、新しい出逢いが待っていた。
第55回群像新人文学賞優秀作。
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書誌情報
紙版
発売日
2012年07月07日
ISBN
9784062177719
判型
四六
価格
定価:1,430円(本体1,300円)
ページ数
138ページ
電子版
発売日
2012年09月07日
JDCN
0621777100100011000Q
初出
『群像』2012年6月号