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東と西 横光利一の旅愁
ヒガシトニシヨコミツリイチノリョシュウ
- 著: 関川 夏央

横光利一は昭和11年、半年にわたってヨーロッパを旅した。その経験をもとに、自らを投影した登場人物を配し、小説『旅愁』を書きはじめる。優柔不断な男と大胆な女が、ヨーロッパを舞台にすれ違う様は、西洋文明になじみ得ぬ横光の精神の現れであった。戦争の世になっても、横光は戦前の欧州に滞在した人々の社交を描き続けた。『旅愁』『欧州日記』を検証しつつ、横光の精神の軌跡を辿る。
作家、横光利一は昭和11年、半年にわたってヨーロッパを旅した。その経験をもとに、自らを投影した登場人物を配し、小説『旅愁』を書きはじめる。小説のなかでは優柔不断な男と大胆な女が、ヨーロッパを舞台に集い、またすれ違う。それは西洋文明になじみ得ぬ横光の精神の現れであり、東と西の文明を背負った男女の恋愛の成就を認められない横光の信念の証でもあった。大阪毎日・東京日日新聞で始まった連載は、時をおいて「文藝春秋」に舞台を移し再開するが、世は戦争の最中。雑誌は頁数に制限がかかり、本人は妻の実家に疎開しているような状況にもかかわらず、戦前の欧州に滞在した人々の社交を描き続けた。『旅愁』『欧州日記』を検証しつつ、横光の精神の軌跡を辿る。
初出「群像」2008年~2011年
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目次
序章 「欧亜連絡」
1 洋上の俳句
2 「文化防衛」は可能か?
3 「フィクションを生活するのだ」
4 『旅愁』の登場人物
5 日本女性は美しいか
6 カフェをめぐる「生活」
7 パリの新世代日本人
8 俳句と「チロル」
9 矢代の逡巡
10 横光利一が不在だった東京
11 林芙美子と横光利一
12 林芙美子のシベリア鉄道
13 「ソビエト・ロシア」の印象
14 内地への帰還
15 庄内鶴岡行
16 昭和十一年初冬
17 「風采」について
18 「戦中」にえがく懐かしい「戦前」
19 統制経済下の「サロン」
20 昭和十九年の現実、昭和十二年の平和
21 『旅愁』の混迷
22 敗戦直前の青年たち
23 敗戦の夏
24 寒い秋
25 庄内降雪
26 旅愁の果て
終章 早逝
あとがき
書誌情報
紙版
発売日
2012年09月27日
ISBN
9784062178280
判型
四六
価格
定価:2,420円(本体2,200円)
ページ数
362ページ
電子版
発売日
2013年02月22日
JDCN
0621782800100011000K
初出
『群像』2008年8月号~2011年5月号(一部改稿)