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金の仔牛
キンノコウシ
- 著: 佐藤 亜紀

18世紀初頭のパリ。追い剥ぎのアルノーは、襲撃した老紳士に逆に儲け話を持ちかけられる。ミシシッピ会社の株を利用すれば大儲けができるというのだ。アルノーは話に乗り、出資者集めを引き受ける。当初300リーブルほどだったミシシッピ株は翌月に1000リーブルを突破し、投資者への返済は順調に履行される。株価はこれから4000まで上がると期待され、相場は加熱していく。アルノーもいまや羽振りのいい青年実業家に!
18世紀初頭のパリ。追い剥ぎのアルノーは、襲撃した馬車に乗っていた老紳士・カトルメールに、逆に儲け話を持ちかけられる。王立銀行が所有するミシシッピ会社の株を利用すれば大儲けができるというものだ。アルノーは話に乗り、出資者を集める役を引き受ける。古着屋のルノーダンや泥棒の親方・ヴィクトールらから大金を預かり、カトルメールに渡す。条件は、出資金額に対してひと月後に1.5倍の額での返済。担保はアルノーの命だ。当初300リーブルほどで売り出され始めたミシシッピ株は翌月に1000リーブルを突破し、最初の返済は順調に履行される。株価はこれから4000、そしてその先に9000リーブルまで上がると期待され、相場は加熱していく。投資が投資を呼び、追い剥ぎだったアルノーも、いまや羽振りのいい青年実業家に。100万リーブルを稼いで、ルノーダンの娘・ニコルを嫁にもらうことを目標に掲げるのだった──。
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書誌情報
紙版
発売日
2012年09月15日
ISBN
9784062179447
判型
四六変型
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
306ページ
初出
『小説現代』2012年2月号~5月号
著者紹介
1962年、新潟県生まれ。成城大学大学院修士課程修了。1999年から2005年まで早稲田大学文学部文芸専修で講師を務める。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞。2003年『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年『ミノタウロス』で第29回吉川英治文学新人賞、および「本の雑誌が選ぶノンジャンルのベストテン」1位を受賞する。その他の著書に『醜聞の作法』『激しく、速やかな死』『小説のストラテジー』『雲雀』『鏡の影』『戦争の法』『モンティニーの狼男爵』『1809』などがある。