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生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある
イキゴコチノヨイマチコノジサツリツノヒクサニハワケガアル
- 著: 岡 檀
【推薦の言葉】
「探検記」の傑作。誰も知らない(住んでいる人たちも自覚していない)謎の「パラダイス」が存在したという展開は、ソマリランド級のインパクト。日本のあらゆる社会問題解決の鍵は本書にある! と遠吠えしたくなった。
―― 高野秀行、ノンフィクション作家、「謎の独立国家 ソマリランド」著者
徳島県南部の太平洋沿いにある小さな町、海部町(かいふちょう)(現海陽町)。
このありふれた田舎町が、全国でも極めて自殺率の低い「自殺“最”希少地域」であるとは、一見しただけではわかりようがない。この町の一体なにが、これほどまでに自殺の発生を抑えているというのだろう。
コミュニティと住民気質に鍵があると直感した著者は、四年間にわたる現地調査とデータ解析、精神医学から「日本むかしばなし」まで多様な領域を駆使しつつ、その謎解きに果敢に取り組む。
ゆるやかにつながる、「病」は市に出せ、“幸せ”でなくてもいい、損得勘定を馬鹿にしない、「野暮ラベル」の活用など、生きづらさを取り除いて共存しようとした先人たちの、時代を超えて守り伝えられてきた人生観と処世術が、次々とあぶり出されていく。
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目次
第1章 事のはじまり ―海部町にたどり着くまで
第2章 町で見つけた五つの自殺予防因子 ―現地調査と分析を重ねて
いろんな人がいてもよい、いろんな人がいた方がよい/人物本位主義をつらぬく/
どうせ自分なんて、と考えない/「病」は市に出せ/ゆるやかにつながる
第3章 生き心地良さを求めたらこんな町になった ―無理なく長続きさせる秘訣とは
多様性重視がもたらすもの/関心と監視の違い/やり直しのきく生き方/
弱音を吐かせるリスク管理術/人間の性と業を知る
第4章 虫の眼から鳥の眼へ ―全国を俯瞰し、海部町に戻る
「旧」市区町村にこだわる理由/最良のデータを求めて/指標が無いなら作るまで/
海抜五百メートルの山と高原/地理的特性の直接・間接的影響/海部町の「サロン」活用法
第5章 明日から何ができるか ―対策に活かすために
「いいとこ取り」のすすめ/思考停止を回避する/“幸せ”でなくてもいい/
危険因子はゼロにならない/人の業を利用する/「野暮ラベル」の効用
書誌情報
紙版
発売日
2013年07月23日
ISBN
9784062179973
判型
四六
価格
定価:1,540円(本体1,400円)
ページ数
226ページ
著者紹介
著: 岡 檀(オカ マユミ)
岡 檀 (おか・まゆみ) 和歌山県立医科大学保健看護学部 講師、慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 研究員 慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 博士課程修了 「日本の自殺希少地域における自殺予防因子の研究」で博士号を取得 コミュニティの特性が住民の精神衛生にもたらす影響について関心を持ち、フィールド調査やデータ解析を重ねてきており、その研究成果は学会やマスコミの注目を集めている。 第一回日本社会精神医学会優秀論文賞 受賞