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黒王妃
クロオウヒ
- 著: 佐藤 賢一

黒王妃こと、フランス王アンリ二世の正室、カトリーヌ・ドゥ・メディシスの波乱の生涯――。国王崩御の際は白い喪服をつけるのがしきたりだったこの国で、生涯黒衣をまといつづけた異端の王妃を、一人称の独白を交えつつ大胆に描く。
フィレンツェの名門に生まれたカトリーヌは、フランス王に嫁ぎ10人の子を得る。だが夫、アンリ二世の愛情はもっぱら寵姫ディアーヌ・ドゥ・ポワティエに向けられていた。その愛情を取り戻す意味もあった馬上での試合。勝利したはずの夫は、そのときの傷が元で急死してしまった。
夫の死後も、子どもたちと近隣王室との結婚話をまとめたり、幼いシャルル九世の治世では摂政をつとめるなど、才覚を生かして手腕を振るう。
肥満体だったため、黒衣を着ているという説もあるほどの美食家で、子どもたちの誰よりも肝が据わっていた。
アンリ二世の死後も、フランスでは宗教的対立によって内戦が続いた。夥しく流される血の海、やがて国王シャルル九世によって読み上げられた処刑宣言は、誰の耳にも黒王妃の言葉に聞こえたのだった。
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目次
1 占いは気になる
2 そう簡単な話じゃない
3 あまりに野蛮で
4 コンデでございます
5 知っておられたのではないのですか
6 できるだろう、おまえのような女なら
7 大袈裟にする気はありません
8 是が非でも
9 今に始まった話じゃありません
10 滑稽でございますな
11 許容の範囲を超えています
12 ここを動きませんからね
13 またギーズ公か
14 ルーアンだけは
15 アンボワーズとは奇縁ですね
16 目にものみせてあげましょう
17 この河の畔には
18 なかに仕掛けられたカラクリというのが
19 もうすっかりスペイン人
20 男の風上にも置けません
21 こんな女のような奴が
22 どこもかしこもアンリばかり
23 おまえのような娘が
24 縁談は進めさせていただきますよ
25 父上の話を、なんと
26 イタリアの女ですものね
27 今なら多少の物音くらい
28 これも神の配剤でございましょうぞ
29 怖いのですね
30 血なんか珍しいものじゃありません
書誌情報
紙版
発売日
2012年12月08日
ISBN
9784062180894
判型
四六変型
価格
定価:2,090円(本体1,900円)
ページ数
458ページ
電子版
発売日
2013年01月25日
JDCN
0621808900100011000V
初出
『小説現代』2011年9月号~2012年8月号