
デジタル・デメンチア 子どもの思考力を奪うデジタル認知障害
デジタルデメンチアコドモノシコウリョクヲウバウデジタルニンチショウガイ
- 著: マンフレド・シュピッツァー ,
- 訳: 小林 敏明 ,
- 監: 村井 俊哉
世はあげてデジタルの時代です。ネット、ケータイ、ゲームなどなど、デジタルは、私たちの暮らしに深く浸透し、かつ、さらなる進化を続けています。もはやデジタルなしに、人間社会は成り立ちません。
しかし、人間は生まれたときから無際限にデジタルのシャワーを浴び続けて本当にいいのか、という根源的な疑義を呈するのが、本書の著者マンフレッド・スピッツアーです。
少なくとも、子どものときからデジタル漬けになると、明らかに脳の健全な生育を阻害する、というのです。
すぐれた脳科学者である著者は、このことを感情論ではなく、膨大な科学的データによって明らかにしていきます。
たとえば、幼いときから、パソコンで検索することを当然とする教育と、検索ではなく自らの手を使って調べる教育を受けた子どもで、脳の発達にどのような違いが出るのか。
あるいは、暴力的なシーンのあるゲームに熱中した子と、そういうゲームに触れなかった子では、どのような違いが出るのか、などなど。
ケータイ、パソコン、ゲームなど、子どもはおびただしいデジタル環境のなかに産み落とされます。それをそのまま放置して、本当にいいのか。
脳科学の見地からの、現代社会への警告の書です。
- 前巻
- 次巻
目次
目次
緒言 Googleはわれわれを愚かにするか
第1章 ロンドンのタクシー
第2章 自分はどこに?
第3章 学校:読んで書かないでコピーとペースト
第4章 脳に登録するか、それともクラウドの中に放り出すか
第5章 ソーシャル・ネットワーク
第6章 ベビー・テレビとベビー・アインシュタインDVD
第7章 保育園にラップトップ?
第8章 デジタル・ゲーム:悪い成績
第9章 デジタル・ネイティヴ:神話と現実
第10章 マルチタスキング:損なわれる注意力
第11章 セルフ・コントロールvs.ストレス
第12章 不眠、うつ病、依存症とその身体への影響
第13章 見て見ぬふり? 何も起こらないのはなぜ?
第14章 どうしたらよいのか?
書誌情報
紙版
発売日
2014年02月05日
ISBN
9784062182058
判型
四六
価格
定価:2,420円(本体2,200円)
ページ数
402ページ
著者紹介
著: マンフレド・シュピッツァー(マンフレド・シュピッツァー)
1958年ドイツ・レングフェルト生まれ。フライブルク大学で医学と哲学のダブルドクターを修め、1989年に精神医学の教授資格を獲得。1990年1997年までハイデルベルク大学精神科医長。ハーバード大学、オレゴン大学の客員教授を歴任。1997年ウルム大学精神科主任教授に着任、98年から同大学精神科クリニックを率いる。専攻は、脳の認知プロセス研究。ドイツのニューロ・サイエンスの旗手として注目を集め、バイエルン放送局が運営するBR-alphaという教養番組の司会も務めている。主な著書に Geist im Netz(1996年。邦訳『脳ー回路網のなかの精神』新曜社2011年)など多数。本書は、発売と同時に、ドイツではベストセラーにランクインして、幅広い注目を集めた。
1948年、岐阜県生まれ。1996年、ベルリン自由大学学位取得。ライプツィヒ大学教授資格取得を経て、現在、ライプツィヒ大学 東アジア研究所教授。専攻は、哲学、精神病理学。主な著書に、『精神病理からみる現代思想』(講談社現代新書)、『西田幾多郎の憂鬱』(岩波書店)、『廣松渉――近代の超克』(講談社)、『〈主体〉のゆくえ』(講談社選書メチエ)、『フロイト講義〈死の欲動〉を読む』(せりか書房)、『西田哲学を開く』(岩波書店)など多数。
1966年大阪府生まれ。京都大学医学部卒、医学博士。マックスプランク認知神経科学研究所(ドイツ)、京都大学医学部附属病院助手などを経て、現在、京都大学大学院医学研究科教授(精神医学)。専門は臨床精神医学、神経画像学、高次脳機能障害の臨床。著書に『人の気持ちがわかる脳』(ちくま新書)など、訳書に本書の著者シュピッツァーの 『脳――回路網のなかの精神』(新曜社)のほか『現代精神医学原論』(みすず書房)などがある。